知らないと「改善法」を誤ります

眼瞼下垂とたるみの「違い」はご存知でしょうか?

これら2つの言葉は混同して用いられることが多いですが、医療の現場では両者は厳密に区別して使用されます。

というのは、「眼瞼下垂」と「たるみ」は症状が根本的に異なり、その症状に応じて改善法のアプローチも必然的に変わってくるからです。

まずは「眼瞼下垂とたるみは別物」と認識することが大切です。それによって、適切な対処法を取ることが出来ます。

逆に、両者を混同して誤った改善法を実施しても、ほとんど効果は期待できないでしょう。

症状の「違い」を把握したうえで、「(症状に合った)適切な改善法」を選択することが大切です。

眼瞼下垂とたるみの違い

眼瞼下垂とたるみの違いを詳しくチェックしましょう。

眼瞼下垂

眼瞼下垂は、主に「上まぶたの筋肉のトラブル」で発症します。

眼瞼下垂(がんけんかすい)とは・・・
まぶたを上げる筋肉(上眼瞼挙筋)の力が弱くなり、まぶたが下がって目の開きが小さくなる症状のことを言います。

まぶたを持ち上げる筋肉の「上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)」の力が弱まることで、慢性的に上まぶたが下垂(かすい)している状態を「眼瞼下垂」と呼びます。

眼瞼下垂になると目の大きさが小さくなり、視界が狭くなるので「頭痛・肩こり・首こり」などの症状も併発します。

男女問わず中高年や高齢者に多い症状で、まぶたの下垂が酷くなると日常生活に支障をきたすケースも見受けれらます。

眼瞼下垂の特徴

眼瞼下垂の特徴は、「筋肉や腱膜のトラブルでまぶたが垂れてくる」という点です。

まぶたを引き上げる筋肉の「上眼瞼挙筋」が機能低下することで、上瞼が持ち上がりにくくなり、「眼瞼下垂」の症状が現れます。

とくに後天性の眼瞼下垂は、「腱膜のトラブル」で上眼瞼挙筋の力が弱まるケースが圧倒的に多いです。

(少し難しい話になりますが・・・)
上眼瞼挙筋は「腱膜」を介して瞼板を引っ張り、上まぶたを持ち上げています。しかし、加齢や外的ダメージの影響で、「腱膜」が瞼板から外れたり緩んだりすると、上眼瞼挙筋の力が弱まって「眼瞼下垂」の症状が現れるのです。

ポイントは、「上眼瞼挙筋」自体が衰退したとは限らないという点です。

上眼瞼挙筋の力は十分でも、腱膜が「ゆるむ」「外れる」など異常が生じると、まぶたを持ち上げる力がグンと下がってしまうのです。

これを「腱膜性眼瞼下垂(けんまくせいがんけんかすい)」と言い、中高年から高齢者に非常に多い症状です。

このように「眼瞼下垂」の特徴は、筋肉や腱膜のトラブルが主原因で、「皮膚のたるみ」とは明確に区別されます。

– 眼瞼下垂の原因 –

  • ハードコンタクトレンズの長期装用
  • 洗顔・クレンジング・花粉症で「目をこするダメージ」の蓄積
  • 目の酷使・眼精疲労・ドライアイ
  • 加齢

まぶたにダメージを与える機会が多いと、「腱膜のゆるみ」を引き起こして下垂の症状が発生しやすくなります。

「たるみ」とは?

まぶたのたるみは「ハリ不足」が主な原因です。加齢や外的ダメージの影響で目元のハリが失われることで、徐々にまぶたは下にたるんできます。

主に「ハリ不足」は2つの要因があります。

  • 肌の弾力成分(コラーゲンやエラスチン)の減少
  • まぶたの筋肉(眼輪筋)の衰退

年齢とともに、コラーゲンやエラスチンなどの肌の弾力成分が減少すると、まぶたはハリを失って徐々にしわしわとたるんできます。

また、眼球をドーナツ状に囲む筋肉の「眼輪筋」が衰退すると、目元のハリが失われて皮膚の「たるみ」が進行します(目元の筋肉と皮膚は密接に関連しているので、「筋力低下」が皮膚のたるみに繋がります)。

このように、目元の「弾力」と「筋力」が低下することで、まぶたの「たるみ」は進行します。

年々「たるみ」が悪化すると、皮膚の下垂が進行して、目の開きが小さくなるケースも多いです。一見「眼瞼下垂」のようですが、皮膚の「たるみ」で瞼が下がるケースは「偽眼瞼下垂(ニセの眼瞼下垂)」と呼ばれます。

垂れた皮膚で視界が狭くなるケースは、「眼瞼皮膚弛緩症(がんけんひふしかんしょう)」と言い、「眼瞼下垂」とは区別されます。

「たるみ」の特徴

「たるみ」の特徴は、皮膚のハリ不足が原因で、「腱膜のトラブル」が原因ではありません。

腱膜に異常がなく、上眼瞼挙筋がしっかり機能していても、皮膚のハリが失われることで、まぶたの下垂(かすい)の症状は引き起こされます。

加齢の影響だけでなく、紫外線や乾燥、目をこするなどの外的ダメージの影響で、まぶたの「たるみ」は進行します。

眼瞼下垂とたるみの違い【まとめ】

後天性の眼瞼下垂の大多数は「腱膜性(けんまくせい)眼瞼下垂」です。

「腱膜(挙筋腱膜)」が伸びたり、ゆるんだり、外れたりすることで、上眼瞼挙筋の力(「瞼板」を引っ張る力)が低下して、まぶたが持ち上がりにくくなって下垂の症状が現れます(「まぶたが垂れる/重くなる」「目が開きにくくなる」など)。

「腱膜性眼瞼下垂」は、「腱膜(挙筋腱膜)」に異常が生じているのが特徴で、後天性の「眼瞼下垂」の大多数がこの症状に該当します。

これに対して、まぶたの「たるみ」は、皮膚のハリ不足が原因で、「肌の弾力成分の減少」「眼輪筋などの筋力低下」などの要因で発生します。

「腱膜」に異常がなく上眼瞼挙筋の力が十分でも、まぶたの弾力や筋力が低下することで、徐々に「たるみ」は進行していきます。

「たるみ」が悪化すると、上まぶたは垂れてきますが、これは「偽眼瞼下垂」あるいは「眼瞼皮膚弛緩症」と言われ、真の「眼瞼下垂」とは区別されます。

(後天性の)「眼瞼下垂」は、”腱膜のゆるみ”などの影響で上眼瞼挙筋の力が弱まって、まぶたが下がるのが特徴です。

「眼瞼下垂」と「たるみ」は、こうした明確な違いがあり、両者は根本的に異なります。

両者の混同は、ある意味「正しい」?

加齢でまぶたが垂れてきた場合、一般に「眼瞼下垂」と「たるみ」は混同されることが多いです。

皮膚の「たるみ」でまぶたが下がっているのに「眼瞼下垂」と間違えたり、まぶたの内側の「腱膜」に異常があるのに「たるみ」と勘違いするケースは多く見受けられます。

すでに解説したように、両者は根本的に異なります。

ただし、「眼瞼下垂」と「たるみ」の混同が100%間違っているかといえば、そうとも限りません(ある意味、「正しい」と言うことも出来ます)。

なぜなら、中高年になれば・・・
「眼瞼下垂」と「たるみ」の両方を併発している可能性が高いからです。

年を取れば、加齢やダメージの影響で「腱膜」が徐々にゆるんだり、伸びたりして「眼瞼下垂」の症状が多かれ少なかれ発生します。

また、年齢が上がるにつれて「皮膚のハリ」も徐々に失われるので、「たるみ」の症状が全くない中高年の方はいないと言ってもいいでしょう。

ですから、まぶたが下がっている状態を見て
「眼瞼下垂」といったり、「たるみ」といったり混同されることは、”完全な誤り”というわけではありません。

まぶたが下がる要因はさまざまで・・・

  • 皮膚の弛緩(ハリ不足・眼輪筋の衰退)
  • 腱膜・上眼瞼挙筋のトラブル
  • 血流の悪化
  • 眼精疲労

…など挙げられますが、「慢性的にまぶたが下がる」ことを大雑把に「眼瞼下垂」というケースも多いです。

しかし、すでに解説したように、厳密には「腱膜・上眼瞼挙筋のトラブル」でまぶたが下がる症状を真の「(腱膜性)眼瞼下垂」と言います。

眼瞼下垂とたるみの改善法は違う!?

「眼瞼下垂」と「たるみ」は根本的に異なる症状なので、改善法のアプローチもそれぞれ異なります。

眼瞼下垂の改善法

眼瞼下垂は「腱膜や筋肉のトラブル」が原因なので、基本的には自分で治すことは困難です。

ただし、下垂の症状が軽度の場合、美容商品を活用してリフトアップさせることは可能です。

美容商品で上まぶたを引き上げれば、リフト効果で目元の印象がパッチリします。

眼瞼下垂ぎみで悩んでいる方は、まぶたを上げる美容アイテムを活用すれば、見た目の印象を改善することが出来ます。

詳しくは下の記事で解説しているので、よかったらご参考ください。

 

一方、眼瞼下垂が重度の場合は、自力ケアでまぶたを上げるのは非常に困難です。

(加齢やダメージの蓄積で)腱膜が瞼板から外れていると、上眼瞼挙筋の機能が大幅に低下して、まぶたの下垂が酷くなります。

根本的に眼瞼下垂を治すには、「腱膜固定術」の治療が必要になります。

「腱膜固定術」は挙筋前転術とも言われ、まぶたを切開して(ゆるんだり外れたりした)腱膜を瞼板に再固定し、下垂の症状を解消します。

眼瞼下垂の症状が軽ければ、皮膚を一部切除する「切開法」や、メスを使わない「埋没法」で改善することも出来ます。

たるみの改善法

瞼のたるみの原因は、「肌の弾力成分の減少」と「目元の筋肉の衰退」が主要因なので、この2点にアプローチすることが大切です。

アイクリームで必要な弾力を補うとともに、エクササイズでまぶたの筋肉を鍛えましょう。

「アイクリーム」は、何でもいいわけではないので注意。たるんだ瞼の引き締めに効果的なクリームを使いましょう。

 

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